妖怪ウォッチ2をプレイしてみたら、大変おもしろかったので、妖怪ウォッチについて考察しました。

この記事はあくまでも「ゲーム」の妖怪ウォッチの考察であり、アニメ版などは考慮していません。

 

◼︎妖怪ウォッチはポケモンと、どこが違うのか?

妖怪ウォッチをやってて、周りからよく質問されるのは「ポケモンとどこが違うのか?」です。おっさん達は基本的に妖怪ウォッチのことを「ポケモンのまがいもの」くらいにしかみてません(わたしも最初そんな感じでした) 確かに似てます。実際同じも部分も多いです。

どこがポケモンと同じで、どこが違うのかというの説明するには、各作品と類似している他のゲームを理解するとわかりやすいです。
ポケモンと類似してるゲーム、というより、元になってるゲームがおおざっぱに2つあります。

 

◼︎ポケモンは「リンダキューブ」+「MOTHER」の系譜。

ひとつはリンダキューブ。

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1995年にNECホームエレクトロニクスよりPCエンジン用ソフトとして発売されたゲームで、ネオ・ケニアという地球と良く似た惑星で、惑星が破壊される前に、気持ち悪いデザインのブタとかイヌとかを捕まえながら、猟奇的なストーリーを進めて行くというわりかし大人向けテイストのRPGです。

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何が似てるのかというと、モンスターを捕まえることがゲームの主軸であり「モンスターを捕まえることでメインストーリーが進んでいく」というシステムを最初に発表したのがリンダキューブなんです。
(女神転生シリーズもモンスターを仲間にできたりしますが、それがフラグになっていたり、そのことによってメインストーリーが進んだりはしません)

リンダキューブがポケモンにどれくらい影響を与えたのかというのは発売日が1年くらいしか違わないので、偶然同じ時期に似たゲームが作られた可能性もあるんですが、リンダキューブの方が発表は早いですし、モンスターの捕獲をテーマにしたRPGということでよく引き合いに出されるタイトルです。

 

もうひとつは、Nintendoから発売されたMOTHERです。

MOTHER 1+2

MOTHER 1+2

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これはポケモンの生みの親である田尻智さんが「自分なりのMOTHERが作りたくてできたのがポケモン」といっているくらいなので、ポケモンにとってMOTHERはなくてはならないゲームです。

田尻智さんが1989年にMOTHERについて書いたコラムがあります。

「ゲームでなければできない夢があり、嘘がある。」

http://www.charapit.com/mother/interview/19891020.htm

このコラムで、田尻智さんはMOTHERについて

「敵キャラクター(モンスター)の分布バランスについて。生き物の生態系にはヒエラルキーというものがあって、一般に小さいものは弱く大きいものは強いと言う自然法則がある。
(中略)
敵キャラクターがマップ上に割と無秩序に分布されているような印象があるのだ」

という批判的なこと書いてますが、この「生き物の生態系やヒエラルキー、その分布」を徹底やったRPGが「リンダキューブ」です。
田尻さんがMOTHERに足りてないと思った要素を、リンダキューブはみごとに体現しています。

というわけで、ポケモンは文化系の糸井重里さんが作った物語重視のMOTHERに、田尻智さんが理系っぽい博物学を足して作り直したようなゲームになってます。

 

◼︎妖怪ウォッチは「水木しげるの妖怪写真館」+「ごきんじょ冒険隊」

 

対して、妖怪ウォッチに類似しているゲームは「水木しげるの妖怪写真館」です。1999年にSNKよりネオジオポケットカラー用ソフトとして発売された知る人ぞ知るといった感じのマイナーゲームです。

 

 

水木しげるの妖怪写真館 NPC 【ネオジオポケット】
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どんなゲームかというと、主人公が水木しげるに弟子入りして、日本各地で妖怪の写真を撮りながら旅をするという非戦闘型RPGです。

初期ドラクエみたいなフィールドマップだけど、でてくるモンスターは全部水木妖怪。しかも、戦闘はなく、写真を撮るだけ、といういわゆる奇ゲー。
ネオジオポケットというこれまたあまり流通しなかったハードからでたことも相まって、知名度こそ低いけど、長くプレイヤーに愛された名作ソフトのひとつです。

水木しげるの妖怪写真館好きのマンガ家として有名な柴田亜美さんが、自身のマンガの中で「妖怪ウォッチは現代に甦った水木しげるの妖怪写真館!」と言っていたように今だに愛されているゲームです。

 

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↑黒いもやもやが妖怪。目玉型のカーソルを妖怪にあわせ、タイミングよくシャッター切ると美しく妖怪を写真に撮れる。

 

もうひとつ似ているゲームは1996年にパイオニアLDCから発売されたスーパーファミコン用のロールプレイングゲーム「ごきんじょ冒険隊」です。こちらは知る人が知らないこともあるくらいマイナーなゲームです。

 

ごきんじょ冒険隊

ごきんじょ冒険隊

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この作品はポケモンと同じく、開発者が「自分なりのMOTHER」を作りたくて作った作家性の強いRPGとなります。
実際、キャラクターデザインを担当した漫画家の須藤真澄さんのマンガ版「ごきんじょ冒険隊」の中で「MOTHERな感じで書いてほしい」というリクエストがあったことが書かれていたと思います。

こちらは当時「女児向けRPG」というコンセプトからして物珍しかったのですが、須藤真澄というサブカルマンガ家の世界観をとりこんで、よりカオス化してるゲームです。
特殊なのはゲームシステム。冒険することがメインであり、戦闘ももちろんあるけれど、敵を倒しても経験値をもらえなかったりとほとんどメリットがない作りになってます。

世界観もやはり特殊で、幼稚園児が主人公のRPG。キャラクターデザインは前述したようにサブカルマンガ家の須藤真澄で、須藤真澄さんの代表的なマンガ「アクアリウム」の主人公がそのまま本作の主人公となっていたりします。

シナリオもアニメ脚本家としても有名な黒田洋介さんが手がけていて、幼稚園児が活躍するコミカルなストーリーの中にぎょっとするような残酷な展開があったりするのもまた魅力の1つです。

今にして思えば、作り込まれた1つの街を探検するという元祖オープンワールドRPGみたいな斬新な作品でした。

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◼︎児童向けのゲームデザイン

「水木しげるの妖怪写真館」と「ごきんじょ冒険隊」に共通することといえば、過度に児童向けに徹したゲームデザインです。

真偽はともかく「ゲーム内での暴力行為が、攻撃行動を誘発するのではないか」というある考え方があります。
当時は現在より、「ゲームは子どもにとって害である」という考え方は根強かったし、未だに人気のある考え方です。
児童向けのゲームを作るときはこのゲームと攻撃性についての問題にとくに気を使わないといけないません。

多くの人気ゲーム作品はこの問題についてわりと無頓着ですが「水木しげるの妖怪写真館」と「ごきんじょ冒険隊」の両タイトルは果敢に戦った作品だと思います。
それがゆえに奇抜なゲームになってしまい、発売当時はあまり受け入れてもらえませんでした。

 

■オリジナリティーの高すぎるものは、そんなに普及しない。

子ども向けとされるゲームの分野においては、とくに新しいものを新しいものとして理解した上に、それを評価できる人間という存在がすごく少ないんじゃないかと思います。
逆にいえば一度、理解されたものが永遠と続いていく業界でもあります。
たとえば「ドラゴンクエスト11」とか「ファイナルファンタジー14」といったタイトルの横にすごい数字が表記された作品が評価されてるのもゲーム業界の特色なのではないでしょうか。

 

■ゲームのあり方もぐっと変わってきた。

わたしは昔はともかく、大人になった今、難しいゲームというのが苦手になってきました。
なんで遊びでやってんのに、こんな苦しい思いしたり、大した理由もなく生物を殺したりしなきゃいけないんだとゲームでやっててストレスがたまることも多いんですが、妖怪ウォッチはその点、殺生がないですし、お金もそんなにシビアではないんです。

今回紹介した「水木しげるの妖怪写真館」「ごきんじょ冒険隊」にもゲームオーバー時のペナルティーがありません。
ごきんじょ冒険隊に至っては、モンスターに倒されてしまった場合、逆にレベルアップするくらい斬新な成長システムが組み込まれています。

「妖怪ウォッチ」、爆発的ヒットの極意(上)仕掛け人が語る舞台裏「すべて本物にする」
http://toyokeizai.net/articles/-/45794?page=3

上記のサイトによれば、妖怪ウォッチは「現代の子どものリアル」を徹底的にリサーチして、過去はやったものの現在に置き換える作業を行ったそうです。
そういった過程で生まれてきた「殴らない”ジャイアン”、嫌味じゃない”スネ夫”」みたいな、新しい今の子どもたちのリアルが、妖怪ウォッチのゲームデザインに直結してきてるのかなと思いました。

 

◼︎早すぎた作品が追いついてきた感。

インターネットの普及で、データベース化や、情報の共有が増えたせいか、当時好きだったマイナーな作品が、今になって見直されたりすることが増えてきたような気がします。
思えば、90年代とか00年代は大ヒットがない世代とか、新しい文化がない空白の時代とか言われてましたけど、ちゃんと新しいものを作ろうとしていた人はいたわけで、新しい作品が理解されずに、古い作品に食われてた暗黒時代とも言えるのではないでしょうか。

「妖怪ウォッチ」は、超メジャータイトルではありますが、既存の人気作品を踏まえつつも「新しい何かになろうとする力」をもった勢いのあるゲームデザインでした。
これはポケモンのモデルになった「MOTHER」 にも言えることだと思います。

 

◼︎結局、「ポケモン」と「妖怪ウォッチ」は何が違うのか。

「ポケモン」は、糸井重里さんが作った「MOTHER」という文学よりの抽象的なコンセプトのRPGを、より具体的に、よりゲームらしく作り直したものです。
「MOTHER」は名作であり金字塔です。プレイしたら一生忘れないような物語力があります。ですが、ゲームシステムだけみてしまうと、別段目新しいものはありません。
ポケモンはそこをうまく補足しています。が、かわりに物語力が減ってます。でも、その分、色んな人に受け入れられやすい作品となりました。

「妖怪ウォッチ」 はもっと単純に「児童向けコンテンツ」に徹したところ、ああいう形になっています。
もちろん、ポケモンは児童に人気がありますし、同じゲームとして参考にしているのはもちろんですけど、妖怪ウォッチの販売モデルは最初からゲームだけではないので、ゲーム以外の要素もすごく強いです。だから、過去の非戦闘系RPGがもっていた奇抜な仕様がたくさん含まれています。

「ポケモン」は「ゲームの中の新しいゲーム」です。
だから、コレクションや、対戦といったゲーマーよりのコンセプトに重きをおいてます。

「妖怪ウォッチ」は「児童向け総合エンターテイメント」として、その中の「新しいゲーム」です。
コレクションや、対戦要素もありますけど、「児童向け」に徹しているため、自らゲーム性に制限をかけていたります。
なので、ゲーム性より、アニメ連動の「期間限定」とか「イベント」や「ムーブメント」に近い遊びにコンセプトをおいているのが決定的に違います。

 

◼︎時間がない人は「妖怪ウォッチ」がおすすめ。極める時間があるゲーマーはポケモン。

私は「ポケモン」「妖怪ウォッチ」どちらもプレイしていますが
ポケモンについては、初代からやってるので「ちょっと飽きた」というのもありますが、とにかく長いシリーズなので、やりこめる要素がすさまじいです。
クリアだけならさくっといけますが、その後は攻略本とか、ポケモン図鑑をめくりながら、地道に交配させて、最強ポケモンを作り上げていく、という、とんでもないマニアックなプレイが待ち受けています(別にやらなきゃいいんだけどさ)

「妖怪ウォッチ」は健康に被害を与えそうなやりこみ度合いというのを、むしろ嫌っています。
3DS本体のタイマーを使って、プレイヤーが1日に遊ぶ時間をコントロールするデザインが組み込まれています。(本体の設定かえてもリセットされない徹底っぷりです)

逆にいえば、1日1〜2時間のプレイを続けていけば、短い時間でさくさくと簡単にクリアできるゲームになっています。

というわけで、ポケモンと妖怪ウォッチ、確かに似てはいますが、かなり違うものなので、気になっている人はぜひぜひプレイしてみてください。

 

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