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落ちこぼれの窓際新聞記者チームが、左遷されて赴任した新局長の元で大逆転・一世一代のスクープをモノにする……、

という話ではない。

 

元々地元で実直な仕事をしてきた記者達が、外部から赴任した新局長の外からの視点を元に恐るべき事実を見出し、白日の下に曝し出すという実話に基づいたストーリーである。

 

まず、サブタイトルにある「世紀のスクープ」という言葉から連想されるような爽快感はかなり薄い。

しかしこの作品はアカデミー賞作品賞はじめスタッフもキャストも受賞、ノミネートされるなど、明確な評価を得ている。

映画だけに限ったことではないが、本当の「面白さ」というものが意識されにくくなっている今、それを思い出させてくれる作品であると私は評価する。

 

昨今、インターネットとスマートフォンの普及によりコンテンツを鑑賞する量は世の中的にも個人的にも普及以前と比べて大幅に増えた。そして環境下で作られる作品は多様化と量産化を生み、あらゆるテーマ、様々な技術とアプローチ、数多くの創作者と製作者を現在も日進月歩で生み出している。

つまり、「面白い」ものが増えているのだ。

しかし、「本当に面白い」ものに当たる確立は減っていると私は思う。

これだけ作品が乱立してくると、「面白さ」だけでなく「刺激的」でないと見つけてもらえなくなってくるのだ。

その作品本来の持ち味として「刺激的」であれば良いのだが、「刺激」のみを目的とした作品や、「刺激」を添加して商業性を担保しようとする例が散見される。

それは作品作りの方向性としてはあながち間違ってはいないのだが、本作「スポットライト 世紀のスクープ」のような作品を生み出すには、もう一歩踏み込んだ感性を磨かなくてはならないだろう。

それは「面白い」と感じる感性を成長させることだ。

価値観の成長と言い換えても良い。

脚本や演出、役者の演技が秀でているだけではなく、誤解を恐れずに言えば「大人の面白さ」がこの作品にはある。

大人が観て面白い、大人のための映画だ。これは今、意外に少ない。

 

あらすじ、作品概要は↓

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『スポットライト 世紀のスクープ』(スポットライト せいきのスクープ、原題:Spotlight)は、2015年のアメリカの伝記・犯罪・ドラマ映画。ジョシュ・シンガーとトム・マッカーシーが脚本を執筆し、マッカーシーが監督を務めた。映画は2003年にピューリッツァー賞を公益報道部門で受賞した『ボストン・グローブ』紙の報道に基づき、米国の新聞社の調査報道班として最も長い歴史を持つ[3]同紙「スポットライト」チームによる、ボストンとその周辺地域で蔓延していたカトリック司祭による性的虐待事件に関する報道の顛末を描く。マーク・ラファロ、マイケル・キートン、レイチェル・マクアダムス、ジョン・スラッテリー、スタンリー・トゥッチ、ブライアン・ダーシー・ジェームズ、リーヴ・シュレイバー、ビリー・クラダップらが出演している。
本作は2015年、ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション外部門で披露されたほか、テルライド映画祭やトロント国際映画祭の特別招待部門でも上映された。北米ではオープン・ロード・フィルムズの配給で2015年11月6日に公開された。日本ではロングライドの配給で2016年4月15日に公開される予定。本作は数多くの組合賞や批評家賞を受賞したほか、様々な媒体によって2015年最良の映画の一つに挙げられた。第88回アカデミー賞では作品賞、監督賞、助演男優賞 (ラファロ)、助演女優賞 (マクアダムス)、脚本賞、編集賞の6部門にノミネートされ、作品賞と脚本賞を受賞した。

 

あらすじ
2001年、マサチューセッツ州ボストンの日刊紙『ボストン・グローブ』はマーティン・バロンを新編集長として迎える。バロンは同紙の少数精鋭取材チーム「スポットライト」のウォルター・ロビンソンと会いゲーガン神父の子供への性的虐待事件をチームで調査し記事にするよう持ちかける。チームは進行中の調査を中断し取材に取り掛かるが様々な障害・妨害にあう。調査が佳境に差し掛かる頃、チームは9月11日を迎える。

キャスト
「スポットライト」班
マーク・ラファロ – マイケル・レゼンデス
マイケル・キートン – ウォルター・“ロビー”・ロビンソン
レイチェル・マクアダムス – サーシャ・ファイファー
リーヴ・シュレイバー – マーティ・バロン
ジョン・スラッテリー – ベン・ブラッドリー・ジュニア
ブライアン・ダーシー・ジェームズ – マット・キャロル

その他
スタンリー・トゥッチ – ミッチェル・ギャラベディアン (弁護士)
ジーン・アモローソ – スティーヴン・カークジャン (『ボストン・グローブ』総合調査記者)
ジェイミー・シェリダン – ジム・サリヴァン (教会側の弁護士)
ビリー・クラダップ – エリック・マクリーシュ (弁護士)
モーリーン・キーラー – アイリーン・マクナマラ 『ボストン・グローブ』コラムニスト)
リチャード・ジェンキンス – リチャード・サイプ (心理療法士) (電話音声、クレジットなし)
ポール・ギルフォイル – ピーター・コンリー
レン・キャリオー – バーナード・ロー枢機卿
ニール・ハフ- 聖職者による虐待被害者ネットワーク (SNAP) のフィル・サヴィアーノ
マイケル・シリル・クレイトン – ジョー・クロウリー
ローリー・ハイネマン – コンスタンス・スウィーニー判事

 

(ウィキペディアより)

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タイトルである「スポットライト」の解釈であるが、

1.彼等が受け持つコーナー名

2.事件を見る上で、注視する(スポットライトを当てる)枠の大きさ

3.作品自体の注視する枠の大きさ

のトリプルミーニングであると私は考える。

 

特に、3に関して考えることは、この作品において非常に有意義なポイントになると思う。

 

この作品の主演は誰か?

上記のキャスト欄に並ぶそうそうたるメンバーだが、最上段のマーク・ラファロは今回見事アカデミー助演男優賞にノミネートされた。主演として評価されたわけではないのだ。そして、それは作品を観た者による正当なる評価なのだ。

今作もマーク・ラファロは名演を見せた。この演技はおそらく監督のオーダー通りであり、この作品の雰囲気として理解しなくてはならない。明確な主演を持たない作品なのだ。

「スポットライト」のメンバーにはそれぞれ話の肝となるシーンがあり、それは全て重要だ。

この焦点の当て方が、登場人物個々の視点・価値観・行動を中心として捉えるのではなく、チーム全体を主人公と考えるライトの当て方なのだと私は考える。

この作品の「面白さ」を表現するには、誰か一人の明確な主人公を据えるのではなく、複数人を並列的に扱うことで「刺激」は減るが、作品のテーマは伝わり易くなる。

監督であるトム・マッカーシーはそう考えたのではないだろうか。

 

 

映画館に行って、上映作品のラインナップを見れば面白い作品はたくさんある。

たくさんあるが、子供向け(色んな意味で)の作品が多いと感じるのもまた事実だ。

そんな中で、はっきりと「大人向けの面白さ」を持つ本作「スポットライト 世紀のスクープ」、間違いなくオススメせざるをえない。

大人は安心して観に行ってほしい。

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